スイッチング降圧電源回路
買えないものは作ります
普段何気なく部室で使っている電源装置、あれって実は結構なお値段がするんですよね。でも家で電子工作をするには電源装置は必須です。なので、作ることにしました。友人が日本橋に行ったときにAC100Vを18VDCにする電源(300円)を買ってきてもらっていたので、ここからさらに18V~0Vに変換する降圧回路をつくりました。電流の消費が少なければ、12VくらいのDCジャックからの給電で動くと思われます。なんならDCジャックじゃなくても、AC100Vをトランスで12Vくらいまで落としてからブリッジで整流、コンデンサで平滑すればたぶん動きます。あんまりやりたくないけど。
そんなに電流たくさん消費するような工作を家ではしたくないので、2Wも出れば十分です。
ディスクリートのロマン
既存の電源素子を買って指示通りに作るのもいいのですが、それではおもしろくないので、専用の素子を使わずにオペアンプとトランジスタとコンパレータを使って、降圧チョッパを制御してみました。マイコンももちろん使っていません。
設計ミスで基盤のサイズを間違えたので、上下に無理やり基盤を拡張しています。
全体の回路図と配置図
主にこれら4つの回路で構成されています。
・降圧チョッパ
・PWM制御回路
・のこぎり波発生回路
・負電圧発生回路
それぞれ説明していきます。
・降圧チョッパ
降圧チョッパのテンプレ型です。Q6がターンオンすると、コイルがエネルギーを貯めつつ2次側に電流を供給します。Q6をターンオフすると、コイルへのエネルギーの供給が止められ、コイルがエネルギーを放出し、これをC11で均します。スイッチングはNchMosFETなので、適当にチャージポンプを乗っけています。出力電圧がVGSより小さいので、ターンオフしたときの電位差のせいで定格(±20V)オーバーなんてことはきっとないはず。たぶん。
・PWM制御回路
ただスイッチングするだけでは負荷変動時に電圧が大きく変化するので、スイッチングするPWM信号のduty比を制御をする必要があります。duty比が高いと出力電圧は上がります。なので、オペアンプで出力電圧と目標電圧を差動増幅し、その出力とキャリア波をコンパレータに突っ込んでPWM信号を生成します。画像中のfbが出力で、3ピンコネクタには可変抵抗がつながっています。比例ゲインは適当です。5V出力時に無負荷~1Wでも、リプルは0.5V程度でした。
・のこぎり波発生回路
定電流でコンデンサを充電すると電圧が線形増加するので、これを利用しました。カレントミラー回路で定電流を作っています。オペアンプとコンパレータで作ったPWM信号をパルス回路に入力し、そのパルス信号でトランジスタを駆動してコンデンサを放電します。これによって、コンデンサの電圧がのこぎり波状になります。充電電圧を監視し、ヒステリシスコンパレータで放電でも良かったのですが、オペアンプも余っていたしこっちの方が周波数の調整が簡単なのでこの方法をとりました。
・負電圧発生回路
オペアンプとコンパレータの電源に負電圧が必要なので搭載しています。無安定マルチで適当に発振を起こして、チャージポンプ回路で-5Vを作っています。三端子レギュレータから5Vを作っているのですが、どうせ5Vはほしくなることが多いだろうということで、出力のコネクタも設けました。
回路剝き出しだと普通に危ないので、ガワをMDFか何かで作ろうかと思います。